2017年 冬糀対談 お客様/「日伊文化交流協会」会長 ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオさん

対談2017年 冬糀対談 ~糀って楽しい!~
お客様/「Associazione Culturale Italia Giappone(日伊文化交流協会)」会長「Accademia dell’olio(アカデミア デル オーリオ)」代表
Vincenzo Andreacchio(ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオ)さん
日伊文化交流協会 ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオさん
Vincenzo Andreacchio
(ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオ)
「Associazione Culturale Italia Giappone(日伊文化交流協会)」会長「Accademia dell’olio(アカデミアデルオーリオ)」代表「オリーブオイル宮津」会長2005年からイタリアで開催されている「オリーブオイルソムリエ養成コース」に立ち上げから携わり、現在は名誉講師としてコースで講義も行うかたわら、栽培分野のオーソリティーとしても、小豆島・京都府宮津・九州地域など日本各地の栽培地域から召喚を受け講義を行う。50年の歴史を持つ世界最大のソムリエ協会「イタリアソムリエ協会」の開催するオリーブオイルソムリエ養成コースの監修も担当。

浅利妙峰(あさり・みょうほう)
「糀屋本店」女将
1952年、大分県佐伯市生まれ。元禄2年(1689年)に創業した『糀屋本店』の長女として生まれ、2女3男を育てた後、2007年から”こうじ屋ウーマン”を名乗り、糀文化の普及と伝承のために国内外を奔走。塩糀を現代に甦らせた糀ブームの火付け役。

こうじ屋ウーマン浅利妙峰が、糀を通じて素敵なご縁をいただいた方とおいしいお話で盛り上がる対談シリーズ。第7回は「日伊文化交流協会」会長であり、「アカデミア デル オーリオ」代表のヴィンチェンツォ・アンドレアッキオさん。糀屋スタッフがアカデミア デル オーリオでソムリエの資格をとったことをきっかけに知り合って4年。オリーブオイルと糀には多くの共通点があることですっかり意気投合している2人、ワールドワイドな夢が駆け巡るワクワクするひとときとなりました。

浅利妙峰(以下、妙峰):宮津市でのセミナー「日本とイタリアの食文化~麹とオリーブオイル~」では、興味深いお話をありがとうございました。

ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオ会長(以下、会長):こちらこそ、ありがとう。

妙峰:オリーブオイルが長い歴史の中で、人々の健康を保って来たというお話をお聞きして、糀とオリーブオイルって確かに重なっているなと思いました。

会長:私も浅利さんのお話を聞くにつれて、オリーブオイルと糀は昔から生活の中にしっかりと根付いて、食文化を支えるお役目を担っているところがよく似ていると思いました。

妙峰:そう言っていただけると嬉しいです。

会長:イタリアと言えばピザやパスタ、トマトやコーヒーが有名ですが、実はイタリアに元々あった食文化ではありません。パスタは中国から入ってきた麺文化ですし、トマトもコロンブスのアメリカ大陸発見後に入ってきたもので、コーヒーに至っては1粒も作っていない訳です。

妙峰:へぇー、そうなんですね。では、本当のイタリアの食文化とは何ですか?

会長:ワインやオリーブオイルだと思います。数千年も前からイタリアの食生活の中に入ってきたものですから。日本食といえば寿司や刺身や天ぷらが有名ですが、日本の食文化の根底には糀があったというのと似ていますよね。

妙峰:そうですね、糀も数千年前に日本の食生活に入ってきたと言われていますから。

会長:またオリーブオイルも糀も、即座に何かに効くというより、日常的に食べることによってカラダの調子を整えてくれるところも似ています。

妙峰:だから、幼い子どもにもよく使われているんですね。オリーブオイルは油だからよくないのかと思っていました。すごいことですね。

会長:私は、子どもの頃からオリーブオイルをパンにつけておやつとして食べていました。イタリアのどこの家庭でも、母乳が終わって離乳食が始まると、オリーブオイルを色んな料理に使っていきます。良質なオリーブオイルは成分が母乳に似ているのです。

妙峰:植物性だから良いですね。うちにも2才の孫がいますが、日本では子どものオリーブオイルの摂り方についてはほとんど知られていません。

会長:日本では魚から油を摂ることが多いと思いますが、世界中で新鮮な魚が手に入るわけではありません。だから、オリーブオイルがこれだけ使われているのだと思います。でも、日本に元々あった食文化を無理にオリーブオイルに置き換える必要はなく、普段食べている物にプラスしていく事が自然な使い方だと思います。

妙峰:以前、オリーブオイルと塩糀を合わせて「オリーブオイル塩糀」という商品を一緒に作らせていただきましたが、おかげさまでとてもおいしいと評判です。

会長:糀とオリーブオイルがバラバラにあるのではなく、結合して1つの商品になって更に美味しさを提供できるのですから嬉しいですね。

妙峰:オリーブオイルも糀も、幅広く応用できて、色んな形に姿を変えて役立つというのが素晴らしいと思います。お寿司やピザはモチロン美味しいですが、調味料のように何か別のお料理に活用できるわけではないですから。

会長:もう1つ、美味しさの点でオリーブオイルが他の油と違うのは、ソースの様に使われることです。マヨネーズやケチャップはお料理の味を隠してしまいますが、オリーブオイルは食材本来の味を引き立たせてくれるんです。

妙峰:糀もそうです。食材が持つ本来の旨味を引き出して、お料理を美味しくしてくれます。

会長:オリーブオイルと糀は、知れば知るほど共通点がどんどん出てきますね。

妙峰:はい、同感です。

会長:それにしても、糀の事を全く知らなかった外国人の私が、日本の糀に大きな衝撃を受けて、イタリアでも色んな人に話をしていますから、糀の良さを世界中に伝えたいという浅利さんのミッションはしっかり達成されていますよ。

妙峰:ありがとうございます。確かにイタリアに行くと、食に対しての探求心の深さを感じます。お料理を作ってもセンスが限りなく近いし、糀や発酵についてもウェルカムなのが何よりも嬉しいです。

会長:イタリアは地中海の真ん中にある半島ですから、昔から色々な食文化が入って来て、自分たちなりにアレンジし続けて来ましたので、糀に対しても門戸は開いていると思います。

妙峰:そう言っていただけると嬉しいです。

会長:イタリア人は、混沌としている中からポッと何かアイデアが生まれるという思考回路ですが、日本人の場合は多分逆で、情報も頭の中もきちっと整理されているのかなと思います。

妙峰:じゃあ、私はイタリアンかな?

「糀とオリーブオイルが一緒になることによって、相乗効果が生まれてくるのがとても面白いです。」会長

会長:ハハハ。でも、イタリア人の創造力の豊かさだけでも、日本人のきちっとした所だけでもダメ。糀とオリーブオイルが一緒になることによって、相乗効果が生まれてくるのがとても面白いと思います。

妙峰:宮津産オリーブの葉の粉末に、糀を加えてお湯を入れて飲んだらお茶のようで、とても美味しかったです。これこそ、先生がおっしゃるコラボしてより膨らませていくという一例ですよね。

会長:素晴らしい!浅利さんに糀やオリーブオイルに対しての知識がしっかりあるからこそ、それらが出会うという所まで行けたと思います。

「オリーブや糀が何千年も伝わって来たのは、そこに美味しさがあり、効果効能があり、それぞれの国で本当に愛されている証拠です。」こうじ屋ウーマン

妙峰:ありがとうございます。オリーブも糀も何千年も消えずに伝わって来たということは、そこに美味しさがあり、効果効能があり、それぞれの国で本当に愛されている証拠です。今後は、どのようにコラボして行くかですよね。先ほど、パスタもトマトもコーヒーも、いつの間にかイタリアの物になって行ったとおっしゃいましたが、私としては、ぜひイタリアの食文化の中に糀も加えて欲しいです。

会長:その可能性は大いにあると思いますよ。イタリアと日本の文化の普及に貢献するのが我々の大切な仕事ですから、「糀inイタリア」みたいなものが発信できたらいいですね。

妙峰:ぜひ早くやりましょう!そして、いつか、日本の糀がイタリアに根付いてイタリアのものになれるくらいまで私も頑張ります。

ヴィンチェンツォ・アンドレアッキオ さん