大分合同新聞 灯にて掲載 12月24日(火)

2024年12月24日(火)大分合同新聞「灯」に『富士山と木花咲耶姫』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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 富士山の守り神とされる木花咲耶姫を祭る富士山本宮浅間大社を訪れた日、雲一つない青空にデーンとそびえる富士山が目に飛び込んできた。新幹線や飛行機から遠く眺める姿とは異なり、立ちはだかるようなその雄大さに驚き、圧倒された。

 木花咲耶姫は、日本神話における美と生命の象徴であり、火と水をつかさどる女神とされる。天孫降臨で地上に降りた瓊瓊杵尊の妻となり、2人の間に生まれた3人の息子たちは海や山、農耕をつかさどる神となった。

 伝承では、母乳が足りず、甘酒を造って子どもたちに与えたとされる。甘酒は米とこうじを発酵させて造られ、ビタミンやアミノ酸、ブドウ糖を豊富に含み、「飲む点滴」といわれるほどの栄養価の高い飲み物だ。古代において、甘酒は命を育む力を持つものとされ、母乳の代わりとして幼い命を支え育んだのだろう。

 発酵は微生物の力で食材を変化させ、新たな生命エネルギーを生み出す神秘のプロセスである。木花咲耶姫が火と水をつかさどることは、発酵に必要な熱や湿度とのつながりを感じさせる。神代の時代から守り、受け継がれてきた甘酒は、日本の発酵文化の象徴。私たちのご先祖さま方の命を支え続けて、今の私たちがあることに感謝したい。これからも、日本だけでなく、世界中で甘酒が飲まれて、健康で豊かな日々を築いていけるように、こうじの素晴らしさを発信し続けたい。

こうじ屋ウーマン・佐伯市)