大分合同新聞 灯にて掲載 5月19日(金)

2023年5月19日(金)大分合同新聞「灯」にて『神武の帝 東征』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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 普段何げなく歌う歌詞の言葉が、突然キラキラと輝いて胸中に降りてきた経験がおありだろうか。それは佐伯鶴城高の3年間、その後も仲間と幾度も歌う校歌の一節。「神の御稜威」の意味が分かり、うれしいやらありがたいやら。卒業後50年以上過ぎても、より深まる愛校心と故郷佐伯への思いに胸を熱くする。

 佐伯鶴城高は、1919(明治44)年創立の佐伯中学校と佐伯高等女学校を前身とし、51(昭和26)年に現校名になり、校歌は佐伯中学校のものを受け継ぐ。作詞八波則吉(旧制第五高等学校の国文学教授)、作曲黒木寛。1番に学校の立地、2番に番匠川など佐伯の風景、3番に古来の佐伯、4番に城山の松、馬場の松と生徒の姿で締めくくられている。

 大入島にその昔 神武の帝 東征の

 御船繋がせ 給へりし 

 巨巌そびえて 今もなお

 神の御稜威のいちじるく

 みもいの古井 清水湧く

 この3番で歌われる「古井」は佐伯湾に浮かぶ大入島の日向泊にある。神武東征の途中、物資補給に大入島に立ち寄った神武の帝は、島に水がないことに心を痛め、弓矢で海岸を掘ると、清水が湧き出したという。人々は喜び”御水” “神ノ井”と名付けて、島の貴重な水源となった。その近くに帝の御船をつなぎ留めたといわれる2基の大岩もある。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)