大分合同新聞「灯」にて掲載 7/9(木)

7月9日(木)の大分合同新聞夕刊「灯」にて糀屋本店 こうじ屋ウーマンこと浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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「車輪のアスリート」

シドニー、北京、ロンドンのパラリンピックの選手として活躍し、輝く成績を収め続けている廣道純さんは大分の誇りだ。

彼は15歳の時のバイク事故で下半身まひとなった。ご両親がそのことを伝えると「分かった」と一言、ベッドから車いすに乗り換えた瞬間「これはいける」と感じたそうだ。潔く運命を引き受け、嘆きや愚痴はなかった。波乱万丈の人生を自分の力で切り開く。

人並み優れた行動力を持つ彼は、人生においてくよくよしたことは一度もない、と言う。彼の周囲にはいつも爽やかな風が吹いて、触れる人の心を明るく、軽やかにする。

40年前にアメリカでキャンプリーダーをした時に聞いた言葉を思い出す。「障がいがあることは、不幸ではありません。それは個性です。肌の色の違い、身長の高低など体の特徴と変わりません。家族や友人の足りないところを補うように、できないところは支え合う方法を学べばよいのです」。あの頃、日本では、まだ健常者とハンディキャップがある人との壁は高く、厚かったので、日米の価値観の違いに戸惑った。

今、廣道さんは競技のみならず、日常の生活でも健常者とハンディキャップがある人との交流の機会をつくる。まだ両者の間に”境界線”を感じるが、同じ場所に立つ未来も見えてきた。車輪のアスリート廣道純さんを応援し続けたい。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)