大分合同新聞「灯」にて掲載 11/21(土)

11月21日(土)の大分合同新聞夕刊「灯」にてこうじ屋ウーマンこと浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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「多様性の中に豊かさを見いだす」

スローフード発祥の地、イタリア・ビエモンテ州ブラの町にあるイタリア食科学大学は、世界70カ国の学生が学ぶ。食科学はもちろん、世界各国の地方を訪ねるフィールド・スタディー重視のガストロノミー(美食学)研究の教育機関だ。食文化の過去と伝統だけでなく、未来を察知する力をも磨く大学として知られる。今月中旬、教壇に立っておられるガブリエラ・モリーニ教授とアンドレア・ピエロー二教授が東京でのシンポジウムに参加し、私も聴講した。

ガストロノミーのエッセンスは「Sense of Place =地域固有の文化=」。地域の自然や風土、人間社会の営みの歴史や伝統、地の利を生かした食文化や風習とともに、その地域の空気感をも受け止め、多様性の中に豊かさを見いだすことこそが基本という。日本の伝統的な食文化をたたえ、世界中の食文化を進化させる革新的な技術や研究、そして何よりも日本人の自然の恵みに対する価値観が他国に類を見ないほどサスティナブル(再生可能性、循環的)であることを指摘された。

地産地消の食材で作った料理を囲み、食科大学の学生が集うテーブルには、国や民族、宗教の違いも乗り越えた幸せな笑顔が並ぶに違いない。食が、世界の平和を築く手段になると確信し、糀を通して貢献できる喜びが湧いてきた。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)