大分合同新聞 灯にて掲載 4月14日(水)

2021年4月14日(水)の大分合同新聞「灯」にて、「11年目のサクラサイタ」と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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不撓不屈の精神で10年間、教員採用試験に挑み続け、この春、念願の教師となった彼の根性をたたえたい。共に無念さをかみしめ、支え、励まし続けたご家族の皆さまにも感謝を伝えたい。光の見えない長いトンネルを走り続ける不安は、ゴールを目指しひたすらに向かうことで振り切ったに違いない。

知り合ったのは、彼が高校生の頃。塾の教室では「俺はダメやけぇ」が口癖、呪文のように唱えていた。「あんたはダメやねえ!練習不足なだけ。できるようになる、必ずできる」。そのたびに私は打ち消した。教室でプリントを解くうちに、彼の中に自信が育ち、次第にネガティブな呪文は消えていった。

大学に進学し「教職を取る」との報告は、私を小躍りさせ、大喜びさせた。可能性を自ら開き、克服したあなただから、教師になって、学生を導いてほしい。あなたにこそなってほしいと、伝えたのは10年以上前の話だ。

大学卒業後「サクラサイタ」の知らせを待ち続けた。1番つらいのは本人、よくぞここまで辛抱し、初心を貫いてくれたと、彼のタフさが誇らしく、涙が出るほどうれしい。失敗しても諦めず、成就した暁には、人生の勲章となって、その人を輝かす。

10年間講師を続け「新米先生」の言葉は似合わないかもしれないが、この春、教師というプロフェッショナルになった彼に心からおめでとうを伝えたい。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)