読売新聞「道あり」に糀屋本店 浅利妙峰が紹介されました①

2025年6月3日(火)から『読売新聞』の連載「道あり」8回シリーズに、こうじ屋ウーマン 浅利妙峰が取り上げられています。こちら第1回目の記事です。ぜひご覧ください(^-^)

🔗読売新聞オンラインにも掲載されています。
▶6/3掲載 ①万能調味料「塩こうじ」考案、江戸時代の「本朝食鑑」がヒント…「何でも手軽においしくなる。絶対うける」

こうじで世界中元気に

 336年続く大分県佐伯市の老舗こうじ店「糀屋本店」を切り盛りする9代目、浅利妙峰さん(72)は、300年以上前の書物をヒントに万能調味料「塩こうじ」を考慮した。「食材が手軽においしくなる」と、関連商品は爆発的にヒット。ブームの火付け役は「こうじで世界平和を」との思いを胸に、きょうも料理講習会の現場に立つ。

 「『塩こうじ』は、漬物である『塩麴漬」からアイデアを得て作ったものです」

 4月上旬、同市のさいき城山桜ホール。トレードマークの作務衣に身を包み、ドイツやスイスなどから訪れたツアー客約20人に流暢な英語で語りかけた。

 米などの穀物にコウジカビを繁殖させて作るこうじは、みそや甘酒といった発酵食品の原料として古くから家庭で親しまれた。だが、これらの食品が時代とともに「家で作るもの」から「店で買うもの」に変わり、家庭向けのこうじ店は全国的に経営難に。足もとを見ると、仕込みの量や頻度は減っていた。老舗店でも厳しさは同じだった。

 転機は2007年。店を支えていた母・和子さんが亡くなった。傾きつつあった店を立て直そうと、アイデアを求めて手にしたのが江戸時代の食物事典「本朝食鑑」(1697年)。

そこに記述されていた「塩麴漬」が目に留まった。作り方は、こうじと塩、水を混ぜて寝かせるだけ。試作でイカにまぶすと、うま味が増した塩辛になった。

「何でも手軽においしくなる。調味料として売り出せば、絶対うける」。確信した商品は、デパートで飛ぶように売れた。「こうじ屋ウーマン」を名乗り、ブログで塩こうじを使ったレシピを発信するとメディアの注目を集め、一気にブレイク。商標登録しなかったため、大手メーカーも参入し、一大ブームに。塩こうじは12年の新語・流行語大賞にノミネートもされた。

 米ニューヨークやイタリアなど計13か国・地域を巡って、講習会などを開き、大手通販サイトで販売も始めた。新型コロナウイルスの流行で活動を制限したがコロナ禍後は、訪日外国人客向けにセミナーを開くなど、再び精力的に行動する。

 「生きることは食べること。こうじ料理で世界中の人をおなかの中から元気で幸せにしたい。そうすれば、争いはなくなり、平和になる。こうじは、その力を秘めていると信じています」

(今回は8回掲載の予定です)

*題字は書家の松清秀仙さん