2025年9月15日(月)大分合同新聞「灯」に『佐伯生まれ、佐伯育ちの矢野龍渓』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。
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7月、上京した私は知人を訪ねて、南荻窪の駅にいた。電車を待つ間、近くの椅子に座る。「暑いですね」と声がかかったので「九州よりも暑いです」と答えた。
「あら、九州はどこ?」「大分です」「えー、大分のどこ」「佐伯です」「私もおじいちゃんたちは佐伯出身よ」「失礼ですがお名前は?」「矢野って言います」「そうですか。矢野さんは矢野龍渓しか思い浮かばないけど」「その矢野よ、龍渓は私のおじいちゃん」「へー、私、『経国美談』の本を持っています。漢字とカタカナばかりなので、読破していませんが。私の卒業した佐伯小学校の一角に龍渓さんの生家跡が残っていますよ」「1度佐伯に行ったことあるけど、ほとんど覚えていないわ」「そうですか。今度お見えになる時はぜひお知らせください。ご案内します」
電車は同方向だったため、一緒に乗り込み、話が盛り上がる。彼女は二つ目の駅で降りる予定が、「あなたの乗換駅まで一緒に行くわ」と、ぺちゃくちゃ話が続く。彼女は劇団員。北海道公演が終わって、自宅に戻られるところだった。
「こんな偶然があるのね」とニコニコ顔。「本当に、感激です。故郷の宝、矢野龍渓さんのお孫さんと隣り合わせでお話しができるなんて、ありがたすぎます」。列車内でメールアドレスを交換して、「また会いましょうね」と手を振り別れた。
(こうじ屋ウーマン・佐伯市)


