大分合同新聞 灯にて掲載 9月7日(金)

9月7日(金)の大分合同新聞夕刊「灯」にて
こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

国木田独歩「春の鳥」

 知り合いの高校生から、夏休みの課題で国木田独歩の著作で読書感想文を書くので本を貸してほしいと、頼まれた。本は持っていなかったが、電子書籍の青空文庫の中にある「春の鳥」と「源おじ」を無料ダウンロードして読んでもらった。
 私も佐伯にいながら全文を読んだことがなかったので良い機会と、この二つの短編小説を読んでみた。なぜ独歩がここまでもてはやされるのか、改めて知ることとなった。話の進むテンポが心地よく、言葉や表現の美しさに魅了され、体が前のめりになるように引きずり込まれ、一気に読み終えた。
 特に「春の鳥」は私たち佐伯小学校の卒業生にとっては、運動場の延長だった城山や武家屋敷通りを中心に話が進むので、親近感も手伝い興味深い。
 知的障害のある少年、六蔵との出会い。彼の生い立ちやその家族との触れ合いの中に、独歩の優しさや温かさが見え隠れする。少年が憧れ続けた鳥となって崖から飛んだその後は、悲しい結果となるが、少年にとって最高の、至福の瞬間をえたと、独歩も家族もそう信じようとした。
 生と死は背中合わせ、いつその瞬間がやって来るかは誰も分からない。人生の長短にかかわらず、与えられた環境の中で一日一日を大切に後悔のないように命を輝かせて生きることを考えるチャンスに巡り会えたことを感謝したい。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)