大分合同新聞 灯にて掲載 9月17日(土)

2022年9月17日(土)大分合同新聞「灯」にて『暑さ寒さも彼岸まで』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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 厳しい暑さも9月になると朝夕は涼しくなり、それに呼応するように「リーン、リーン」とスズムシの声が響き、涼風が体の中に流れ込んでくる。

 暑さ寒さの境がお彼岸にあるのは知っているが、本来の意味や由来はなかなか見聞きする機会は少ない。「彼岸」とは煩悩を脱した悟りの境地。仏教の世界ではさんずの川を境にして、生きている人間が住む世界を此岸と呼び、向こう側を極楽浄土、彼岸という。また「仏道の修行をする」という意味もある。

 修行というと堅苦しいが、以下の「六波羅蜜」の実践。①「布施」見返りを求めない施し②「持戒」戒律を守る③「忍辱」耐え忍ぶ④「精進」誠心誠意を尽くす努力⑤「禅定」冷静に自分自身を見つめる⑥「智慧」私たちは本来仏様の智慧を授かり、この世に生まれてくる。むさぼりや怒り、愚痴などによって心を曇らせるが、①~⑤までを実践することによって悟りの智慧を磨き出す。

 彼岸にお供えするあんこ餅、春はボタンの花に見立てたぼた餅、秋はハギに見立てたおはぎ、地方によって呼び方や捉え方も違うが、通説では小豆の状態をいう。収穫したばかりの小豆は皮が軟らかいので秋は粒あんにし、春になると硬くなるのでこして使う。手作りをするなら、炊いた小豆の重さの10%の砂糖と、砂糖の10%の塩こうじを加えれば、減糖ながらおいしいあんこがいただける。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)