8月7日(水)の大分合同新聞夕刊「灯」にて、こうじ屋
タイトル:『糀』の字は新井白石が作った
糀、麹に関わる方にはぜひ読んでいただきたい記事です。
麹菌は酵素の宝庫。
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東京で6月に行われた糸状菌遺伝子研究会で、塩麴の再発見と普及について発表するチャンスを頂いた。恥ずかしながら糸状菌のことは知らず、調べてみた。東京農大柏木豊先生の文献にもこう書いてある。我が国の醸造発酵産業における糸状菌酵素の利用技術は主として麴菌が分泌生産する多種類の酵素群を巧みに利用するところから始まっている。発酵糸状菌の中でも麹菌は「酵素の宝庫」と言われるように多種類の酵素を生産し、麹菌酵素の中には現在知られている酵素のほとんどの種類が含まれていると推測されている。
発表後、一島英治先生から屋号に使われている「糀」は、江戸時代から使っていたのかと質問を頂いた。江戸時代の地図には麹屋、明治時代の地図は糀屋と載っていると伝えると、興味深いことを教えてくださった。「糀」の文字は新井白石(江戸時代中期の旗本・政治家・朱子学者)が作り、広まったそうだ。
暗中模索で新旧の麹文献を調べ、江戸時代に編さんされた本朝食鑑にある「塩麹漬け」の言葉に出合ったのが2006年。レシピを麹3に対して塩1、水4に整えて「塩糀」として商品化し、料理講習会や講演会を始めてはや12年が過ぎた。これからも塩の代わりに塩糀、砂糖の代わりに甘糀や甘酒と、糀の調味料で健康になれることを伝え続けたい。
(こうじ屋ウーマン・佐伯市)