大分合同新聞「灯」にて掲載 8/2(水)

8月2日(水)の大分合同新聞夕刊「灯」にて
こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

―――――――――― ――――――――――

「汝自身を知れ」

「だいたい女はバカですからね」。この言葉を担任の先生から聞いた15歳の頃はからはや50年が過ぎた。カチンときて反発したものの、先生はその後ソクラテスの「無知の知」と「汝自身を知れ」の話をされた。自分の愚かさを認め、学ぶことの大事さを説いた言葉。知的好奇心に火が付き読書にふけった。

ソクラテスは「無知の自覚に立って初めて物事を本当によく知ることができる。そこからよく行う道が自覚され、人間の道徳につながる」と主張した。そしてねたんだりそねんだりすれば、自業自得の結果が訪れるというのだ。あの時には理解できなかった「女はバカ」の一言は、私の胸中に鋭いトゲのように深く突き刺さった。この年になって、ソクラテスは私たちに謙虚を忘れず、学び続け、経験を積み、努力を惜しむなと教えていると思えるようになった。

日本語は世界で一番言霊の強い国語だといわれる。発した言葉が未来を開くのだ。国政を憂い、日本を良い方向に向かわせる方策や解決策を論じるための国会が役目を果たさず、個人を批判し、マスコミに踊らされているようにしか見えない状況を見て、おかしいと思うのは私だけだろうか。

言霊を信じて大きな声で唱えたい。政党間の思惑を超え、政治家らしさを発揮し、明るい展望に胸が高鳴り、国民が拍手喝采して喜ぶような国会になあれ。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)