2023年3月2日(木)大分合同新聞「灯」にて『桜は咲いたか 梅はまだかいなあ』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。
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寒風に吹かれて、梅が咲き、優しい香りを漂わせると、春への期待感が膨らみ、幸せな気分になる。白い花と風雅に富んだ樹姿は、日本人に愛好され、吉祥の植物として古代より重用されている。
梅の花をこよなく愛した菅原道真公が、無実の罪を着せられ、太宰府へ左遷される前に大事にしていた梅の木に語りかけた和歌は、よく知られている。
「東風吹かば にほいおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな(春な忘れそ)」
春風が吹いたら、匂いを(京から太宰府まで)送っておくれ、梅の花よ。主人(菅原道真)がいないからといって、春を忘れてはならないぞ。
この梅の花を図案化したのが梅紋で、家紋としては菅原道真公が祭られる天満宮が神紋としたことが始まりとされる。梅紋は、近畿、北九州地方に多く分布し、道真公を祭る天神信仰が日本各地へ広がるとともに紋も各地に広まった。梅紋は大きく分けると梅花紋と梅鉢紋に大別されるが、多く用いられたのは梅鉢紋の方である。
糀屋の家紋は隅切り角に梅鉢、道真公とのご縁もあるのだろうか。葬儀や結婚式などの大事な慶弔の折りには、あさぎ色の家紋入りの幕が店頭に張られる。幾世代ものご先祖さま方の喜び悲しみを見守りながら、時を重ねてきたこの幕にいとしさが募る。これからもわが家の伝統として守り、伝え続けたい。
(こうじ屋ウーマン・佐伯市)