大分合同新聞 灯にて掲載 8月29日(火)

2023年8月29日(火)大分合同新聞「灯」にて『「城山鳴るとき 佐伯鳴る』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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 佐伯の春先づ城山に来り、夏先づ城山に来り、秋又た早く城山に来り、冬はうど寒き風の音を先づ城山の林にきく也。

 城山寂たる時、佐伯寂たり。城山鳴る時、佐伯鳴る。佐伯は城山のものなればなり。

 冒頭の詩は1895(明治28)年、国民新聞に4回にわたって掲載された国木田独歩の「豊後の国佐伯」の中の「城山」の一文。城山は、今なお私たちが愛し、誇れる佐伯のシンボルだ。

 3月20日、全国にも貴重な近世城郭として、佐伯城跡が佐伯市初の国の史跡に指定された。佐伯(鶴屋)城は、佐伯藩初代藩主、毛利高政公によって、1602(慶長7)年から1606年にわたって築城された近世の山城。標高146㍍の八幡山(城山)の山頂部に高石垣を伴う本丸、二の丸、西出丸、北出丸などの曲輪群を配置し、山麓に藩主が居住する三の丸を置いた。その曲輪の配置は築城当初から現在までほぼ変わっていない。中世山城の曲輪配置構造と、近世城郭の築城技術が融合して築かれている。

 また、斜面を保護するひな壇状の石垣や、取水源としてだけでなく、雨水や地下水などの排水、調整機能を担った雄池、雌池など山全体を保護する遺構も残されている。

 全国的にも貴重な近世城郭で日本100名城の一つとしての備中松山城(岡山県高梁市にある連郭式の山城)にも勝るとも劣らない風格だ。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)