大分合同新聞

6月7日(木)の大分合同新聞「灯」にて
掲載されました。

全ての道はローマへ続く 浅利妙峰

新緑が色濃くなっていくこの季節に、イタリア北部のミラノから電車で2時間のレジョエミリアの町に向かった。この町でバルサミコ酢を伝統的に作っておられるテラデルツオーノ社の120周年記念パ−テイのお手伝いするためだ。仕事の合間を縫って現地の人に、町の真ん中にあるサン・プロスペロ教会へ連れて行ってもらった。その途中で四角の石が敷き詰めている道に出ると、誇らしげに「この道はローマに続いています」と説明してくれた。長い時の流れの中で、いったいどれだけ多くの人が喜怒哀楽の感情を抱えてこの道をたどり、ローマへ向かったのだろう。足下から、ジーンと歴史の重さが伝わってくる。

サン・プロスペロ教会の中に一歩踏み入れると、厳かだけれど温かな雰囲気に包まれ、背筋が伸びる。十字を切って礼拝する作法は知らないけれど、合掌してこの静けさと心の安らぎを与えていただいたことに、お礼を申し上げた。

明るく陽気なイタリア人気質と共に、神に祈り、すべての恵みに感謝する敬虔な宗教人としての心の広さ、温かさ、清らかさを併せ持つ魅力的な人々との出会い。古き伝統を持つこの国に多くの人々がひかれ、私もまたイタリアが大好きな国の理由を体感できた日々だった。