2023年7月28日(金)大分合同新聞「灯」にて『「初等科 国史」を読む』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。
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情報があふれる世の中、ただ情報として取り込むのではなく、情報を精査して自分の体の中に織り込み、染み込ませる。その作業が自分の血や肉となり、精神性さえも養ってくれる。もつれた糸を解きほぐし、縦糸と横糸に整えて布を織るように、これまで学んできたものが頭の中で整ってくる喜びは格別だ。
自分自身のルーツを知ることがいかに大事かを改めて教えてくれた本「初等科 国史」は、戦後世代の私たちが知らない、戦時中の小学生5、6年生が学んだ国史である。
「祖先とわれわれをつなぐ物語」、
日本の歴史が、テンポの良い美しい文章でつづられ、神話の時代から連綿と続く天皇を中心とした物語として文学的に描かれている。その中には、神武天皇の東征のご苦労であったり、仁徳天皇が高殿に登られて、遠く見下ろした民家からかまどの煙が上がらないのを見て不作が続く人々の苦しみを感じ取られ、3年間は税を納めなくてもよいとし、ご自身も質素倹約に努められたお話などなど、私たちもよく知っている逸話も多い。
連合国軍総司令部(GHQ)によって焚書となり、この世から消え去った本が、令和の時代に完全復刻版として出版され、読めるようになった。うれしいことに旧漢字や旧仮名遣いは新漢字、現代仮名遣いに改められ、近代日本画風な挿絵、写真、図版も再現されている。
素晴らしい歴史を持つ日本に生まれたこと、この2600年以上続く日本の誇りと文化、伝統を子や孫たちの世代へつなげたいとする覚悟を私たちの中に植え付けてくれたことに感謝したい。
(こうじ屋ウーマン・佐伯市)