大分合同新聞 灯にて掲載 5月21日(火)

2024年5月21日(火)大分合同新聞「灯」にて『モイカの旬は5月~8月』と題した こうじ屋ウーマン 浅利妙峰のコラムが掲載されました。

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 注文を迷っていると「イカスミリゾットを食べてごらん」と、るみさんが声かけをしてくれた。彼女は佐伯市日の出町にある欧風家庭料理の店コヤマのオーナーシェフ。

 「釣りバカ日誌19」が佐伯で撮影された時、三国連太郎さんがイカスミリゾットを気に入って、2日続けて食べに来てくれたとのこと。「イカスミは、モイカのじゃねーといけんのよ」と笑顔で言う。リゾットと聞いておかゆを思い浮かべていたが、真っ黒のピラフの上にとろけたチーズが載っている。味付けはシンプル、ほんのりと塩味でおいしい。最初はゆっくりよくかみながら味わい、「へー、ふーん、ほー」と声が出る。

 欧風料理の中でも、イタリアンは日本食と似ている。どちらも新鮮な食材を使い、シンプルな味付けで、素材の特長を引き出す。ガツンとくるのではない、跳び上がって喜ぶ味でもない。しみじみと、じわじわと、うまみが伝わってくる。前世の記憶にもあるような素朴な味、イタリアンマンマの息遣いが聞こえてきそうな味だ。

 佐伯ではモイカと呼ばれるアオリイカは、刺身にすると、歯応え、甘み、うまみ、すべてにおいて最もおいしいと評価されている。5月から8月にかけて旬を迎える。これからは、モイカを買ったら、スミもしっかり取り置いて、全ての命を大切にいただこう。自分で作れるか少し不安だが。

(こうじ屋ウーマン・佐伯市)