お腹の中から元気に幸せになれる糀の活用法<基礎編>

「糀のさ・し・す・せ・そ」を楽しむために、「糀のいろは」からおさらいしてみましょう。

糀で目指そう!「健体康心」

私たちはよく「健康」という言葉を使いますが、実は「健康」とは「健体康心」を縮めたものです。
「健」とは天の運行に従う、人工をやめて天然に従うこと。「康」は心を広く持って楽しく生きること。体だけでなく心にも気を配る必要があり、「健」=体、「康」=心2つが合わさっての健康ということです。「医食同源」「万病一因」という言葉からもわかるように、私たちの体は食べたものでつくられます。当たり前ですが、生きることは食べることであり、よりよく生きるためには良いものを食べることです。

まず、体が健康であれば自然と心も健康に向います。
「健康」な毎日に日本の糀も役立たせてほしいと発信し続けて10年、さ(砂糖)の部分を甘酒に、し(塩)の部分を塩糀に置き換えることによって、基本の調味料「さ・し・す・せ・そ」を全て糀で作ることができるようになりました。

日本の風土が育んできた糀を使った発酵食品は、食べ続けることで素晴らしい健康効果を発揮します。日々の食卓に上手に取り入れて心も体も健やかに過ごしてください。

発酵食品を使わないで料理をしてくださいと言われたら、どうしますか?

発酵食品を使えないとなると、調味料は塩や砂糖となり、作れる料理も限られてしまいます。。
私たちが日頃からいかに発酵食品のお世話になっているかに気づきますね。。
チーズ、ワイン、ヨーグルト…世界中には昔から伝えられてきた様々な発酵食品があります。中でも、日本は世界有数の発酵王国といわれ、特に麹菌を使った味噌、醤油、日本酒、甘酒、漬物などの発酵食品は今も私たちの食生活に欠かせない存在です。

教えて!こうじ屋ウーマン
麹菌って何?
麹菌は微生物です。微生物とは顕微鏡でなければ見えない微細な生物の総称で、代表的なのは、細菌・酵母・カビがあり、麹菌は私たちのカラダに良い影響を及ぼすカビの代表です。正式名称は、和名で「ニホンコウジカビ」、洋名では「アスペルギルス・オリゼ」といいます。とても長い時間をかけて、人体に有益な発酵を促す安全な部分のみを持つ菌として熱心な改良と研究が続けられ、日本の食卓を支える重要な役割を担う麹菌は2006年に「国菌」として認定されました。
麹って何?
麹菌を蒸したお米や麦などの穀物につけて繁殖させたものが麹です。味噌、醤油、みりん、日本酒、甘酒、漬物などの発酵食品を作るときに使います。糀屋本店はお米の麹なので「糀」という文字を使っています。
発酵って何?
微生物(酵母、菌類)や酵素がデンプン、糖、たんぱく質を分解し健康に役立つ栄養成分を作り出す活動を「発酵」と言います。逆に食べられないものに変わってしまうことを「腐敗」といいます。

糀を使うと料理が驚くほどおいしくなるのは、3大消化酵素のおかげです。

塩糀や甘糀など、糀の調味料を料理に使うと、肉が柔らかくなったり、うまみや甘味が増したり、元の食材にはなかった味わいが生まれます。この不思議な変化をもたらしてくれるのが酵素です。
糀には、炭水化物を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼの3大消化酵素が含まれており、特に旨味を生み出すたんぱく質分解酵素が100種類以上も含まれています。これらの酵素の働きによって食品がおいしくなるだけでなく、本来体内の分解酵素を使って消化されるものを糀の酵素が体内に取り込む前に同等の分解を行います。 糀を使って料理をすることで体内の消化酵素を無駄づかいせずにすみます。酵素は、私たちの体内で作られるもので、その量には限りがあり、しかも年齢とともに減少していきます。若さと健康の秘訣は、体内酵素の減少を糀の調味料などで日々補っていくことです。

【糀のうれしい効果】◎3大消化酵素が、調理の段階で消化しやすい状態に 食品を加工し、体内への吸収を助ける ◎食材のうまみやコクをアップ、料理をおいしくする ◎肉や魚を柔らかくする ◎食材の保存性を高める ◎腸内環境を整え、免疫力を高める

こうじ屋ウーマンの糀調味料の作り方&使い方には、「黄金律」があります。

糀の調味料は、素材の旨味を引き出し、減塩、減糖、減脂に役立つだけではなく、さらに嬉しいことに、主食やおかずからスイーツまで幅広く使えます。ただし、使い方にはルールがあります。まずは使いやすい「塩糀」からマスターしましょう。

こうじ屋ウーマンの黄金律(1)
塩糀の材料の割合は「糀3:塩1:水4」

「糀3:塩1:水4」、これが試行錯誤の末に割り出した塩糀の材料のベストな割合です。糀屋本店の塩糀もこのレシピで作っています。出来上がった塩糀の塩分は12.5%で塩分は全体量の1/8になります。市販の塩糀は塩分濃度がそれぞれ違うので、料理にどれだけ使えば良いのかがわかりません。
そこで、確実に減塩&おいしい料理ができるように数値化したのがこの『黄金律』の割合です。効果的な減塩の基本は、まず塩糀を作るときにきちんと量ることがポイントです。

もうひとつ、塩と糀を混ぜ合わせる時に「アイシテル」と声をかけながら仕込むとおいしく出来上がりますよ。

塩糀を作ってみましょう

■材料

米糀(300g)、塩(100g)、水(400g)

■作り方

  • 米糀をバラバラになるまで手でよくもみほぐす
  • 塩を加えてしっとりするまで手でつかむようにもむ
  • 水を加えて両手の平で糀をやさしくこすり合わせる
  • ミルク状になったら大きめの密閉容器に入れて寝かせる
  • 1日1回かき混ぜながら6~10日間常温で熟成させる
  • 密閉容器に入れ冷蔵庫で保存する(約3ヵ月保存可能)
    (滑らかにしたい場合はミキサーにかける)

塩糀は、この10年間でぐんと使いやすいように進化しました。

できるだけ時間をかけずに作りたい場合は、ヨーグルティアSやカモシコを使いましょう。
材料を専用の容器に55℃の温度で4時間のタイマーをセットして、スイッチを押すだけで4時間後には塩糀が出来上がります。
また、自分で作るのが面倒という方には、粉末のキスケ塩がおすすめ。いつでもどこにでも持ち運べて、効果は液体の塩糀と同じですから、うまく使い分けると便利です。

こうじ屋ウーマンの黄金律(2)
塩糀の使用量は食材の重さの10%を目安に

「食材の重さ×10%の塩糀」、これが素材の味が最大限に活きる塩糀の使い方の方程式です。細かい計算は省略しますが、「糀3:塩1:水4」の割合で作った塩糀を食材の重さの10%使えば、その料理の塩分濃度は約1%となります。
実はこれ、人間の血液の塩分濃度とほぼ同じです。だから美味しいと感じ、カラダが喜ぶというわけです。料理に使うときの目安として、「塩糀大さじ1は約20g、塩分は約2.5g、塩に換算すると小さじ1/2」と覚えておくと便利です。

例えばハンバーグの場合、ひき肉100gに対して塩糀は10%の10g、塩分は約1グラムになります。あくまでも10%を基本に、あとは好みに合わせて調整してください。塩糀はうまみが強いので、塩分控えめでも美味しくできます。
ちなみに、醤油糀大さじ1は約18gで醤油に換算すると小さじ2。甘糀大さじ1は約18gで砂糖に換算すると小さじ1強となります。

塩糀ハンバーグの作り方

■材料(2人分)

合いびき肉(300g)、玉ねぎ(1/2個)、
塩糀(30g)、サラダ油

■作り方

  • フライパンにサラダ油大さじ1/2をひき、みじん切りにした玉ねぎを中火で炒める。玉ねぎが透き通ってきたら、火を止めてさます。
  • 合いびき肉に塩糀と①を加え、粘りが出るまで練り混ぜる。
  • 3を2等分して平たい楕円形に整える。フライパンにサラダ油大さじ1/2をひいて中火にかけ、たねを入れてふたをし、蒸し焼きにする。焼き色がついたら裏返し、弱火にしてふたをし、6〜7分焼く。表面から透明な肉汁が出てきたらOK。

糀で『世界中の人をお腹の中から元気にしあわせに』

今回は基礎編ということで、塩糀を中心にお話しましたが、いかがでしたか。「私たちが食べて本当においしいもの、カラダにいいものを皆さんにも召し上がっていただきたい」、これが糀屋本店の商品づくりの基本です。この思いは、これまでも、これからも決して変わることはありません。次の機会には、糀で作る基本の調味料「さしすせそ」をもっと幅広く活用していただくための応用編をお届けする予定です。どうぞお楽しみに。